Posts

ICBBS2019での発表

Image
先日 11 月 7 日に NUS で開催された International Conference on Business and Behavioral Studies ( ICBBS ) 2019 に参加しました。 ICBBS2019 ではフルペーパーを提出して 発表してきました。 福島第一原発での事故以来、国内では原発に対する厳しい見方があること、電力の垂直分離や全面自由化に伴った電力小売業者を自由に選択できるようになる中で、実際には小売業者を変えた需要家(消費者)はあまり多くないことがわかりました。需要家の優先順位と実際の行動のギャップがあります。また、先行研究でも太陽光を設置した家庭は全体の 10 %程度という調査結果もあり、政府のエネルギー政策や電力会社からの見方などを踏まえてレビューしました。 まず、参加して驚いたのは参加者が少ないことでした。まるで大きな学会の研究会程度ですが、それでもインドネシア、タイ、フィリピン、ロシア、スリランカ、インドから参加されている大学の先生といつもはこのような国際会議ではできないような深い話はできました。インドネシアやスリランカは働いていたこともあり、個人的には親近感がある国からの参加者が多くて、あまり、ひとりぼっちということを感じませんでした。この点では、大規模な国際会議やシンポジウムと違った雰囲気でした。興味あるトピックの発表もあり、ネットワーキング作りを行って、共同で研究を進めていくのには、ちょうど良い具合のサイズ感でした。 私自身の発表は、私の次の演者が来なかったこともあり、 20 分の発表と質疑応答が 30 分を超えました。通常だとないことですが、質疑応答の時間は楽しかったです。質疑応答の内容は、電力の自由化の恩恵は需要家は受けることができるのか、自由化は段階的に実施されたことや大きい出来事を経てエネルギー政策が決められることについて意見を求められるなどでした。質問やコメントをもらって、気づきや今後の取組むことについても考える良い機会になりました。

教育工学会研究会での発表

Image
10月19日甲南大学で教育工学会研究会で発表してきました。 午前の部は、私の発表を含め5つの発表があり、金沢星稜大学の芥川先生と2人で座長をしました。私が書いた予稿は、被服管理学の授業の進め方を去年から変更し、今年クリッカーを使って学習状況などを調べたので、ペーパーとしてまとめようと考え、今回の研究会での発表にいたりました。 発表の内容については、以下の通りです。 対象の授業は「被服管理学」という授業です。これまでは一般的な大教室での講義でした。この授業を4年間ほどやって課題と思われることを次の3つとして上げられるのではないかと考えました。 1)教室外での学習時間が十分でなく、小テスト対策が暗記中心の勉強である。    (授業では3回の小テストを実施していました。) 2)実験レポートの考察では論理的な組み立てができていない。    (理論上の考えられる結果と実験結果の差異について論理的な考察が行う。) 3)濃度の計算が苦手である。 とりわけ、1)については講義資料はポイントのみを示しているので、自らが調べるという作業をどこかで入れなければいけないと考えました。これと関連して講義スライドで示したポイントとポイント、あるいは単元と単元をつなげる作業ができれば、論理的な考察ができ、卒論などにもつながっていくのではないかと考えました。 それを踏まえて、振り返り問題を作って、前週で学習した内容に関連する振り返り問題を授業後半で解く、宿題とする。さらに試験と関連づけることで、いわば振り返りの反復w行うことで学びが深まっていくのではないと考えました。そして宿題とした時点で「自ら調べる」というプロセスが一つ入る。そこでの気づきがあるのではないかと考えました。気づきがあれば、それが深い学びにもつながっていくという仮説を立てました。 図にすると以下のようになります。 その仮説をベースに授業設計し、クリッカーなどを使って、授業実践を行った結果を研究会で発表しました。想定したような自ら調べるという行動が取られ、その過程で気づきはあったことは結果からもわかりました。また、去年もそうですが、答案用紙にはびっしりと解答する学生もおり、講義と実験との関連性に気づく学生はいました。 しかし、私自身の課題として、学習効果を測定する指標設定は先行研

福島第一原子発電所の見学会に参加しました。

Image
先日、福島第一原子力発電所( 1F )を見学しました。今回はエネルギー学会のエネルギー学部会の見学会が主催してくださり、初めて福島に行きました。 いわき駅からバスで富岡町にある廃炉資料館に向かいました。資料館は、もともとは福島第二原子力発電所の PR 館としてあった施設の内部の展示を改装し、事故の記憶と教訓を残さないようにと事故当時から現在の廃炉に向けた取り組みなどが展示されています。 2011 年 3 月 11 日当時の自分を振り返ると、 JICA プロジェクトの業務調整として、インドネシアの BAKORKAMLA (海上保安調整組織)に派遣されていました。ちょうど金曜日で、ジャカルタの勤務先の食堂で津波の様子などをテレビで見ていました。それから数日後に発電所建屋が水素爆発した映像はたしか BBC で見たと記憶しています。その後、 5 月末に3年間の任期を終え、帰国しました。ずっと関西ということもあり、東北の知り合いもあまりいないこともあり、福島がどうなっているのかは、ただテレビを通して知る程度でした。 当日は最初に、資料館で当時の映像などをみて、そのあと、説明を受けました。説明の後、現地にバスで向かいました。資料館から 10 キロほど行くと帰還困難区域に入っていきます。国道沿いは、ゲームセンターやレストランなど立ち並び、所々に住宅がありました。道路の数カ所には線量表示計があります。国道から第一原子力発電所へ続く道路に入っていきます。道路から見える風景は、かつては水田だったところが、今は低木の木が生えて、そこが水田だったことがわからないくらいになっていました。 発電所の施設に到着すると、線量計を持って、バスの中から1号機から4号機までの様子、汚染水をフィルターを使って処理する装置、地下水の遮水壁などを説明を受けながら見学しました。原子力発電所が地震などが起こると 「止める」 、 「冷やす」 、 「閉じ込める」 の3つのことを行うことで安全性が確保できることを説明を受けました。 1F は止めることには成功したものの、冷やすことができなかった。原因は 「冷やす」 ための電力供給を受ける交流電源が損失、想定外の津波による非常用電源の損失とは聞きました。でも直流の非常用電源も実は水冷式、空冷式の複数あったり

The JIE 28th annual meeting at Kansai University

Image
The 28th annual meeting of the Japan Institute of Energy (JIE) was held at Kansai University. It was extremely hot in Osaka. While it is the third time for me to participate in the conference, I made oral presentations for the first time. In my research, I would like to take some topics from renewable energy and energy issues. Thus, a paper presented in Malaysia in April this year is from the supply side. At the same time, I would like to argue renewable energy issue from the demand side. Then, a survey was executed and I wrote a 2-page summary based on the survey result. Prior to the survey, I read some references, but I could hardly write all references I read. This is because the summary as mentioned above has just two pages. After reading, I constructed and delivered a questionnaire in several classes. I focused on young women’s power sources preference of decision-making. I set up four criteria from alternative power sources. As a result, safety and security are the most

国際会議と論文(メモ)

国際会議といえば、ここ5年ほどプロジェクトマネジメント学会が主催するProMACで発表をしてきました。ProMACは査読もあるのですが、これがProceedings XXXXにはなりますが、Ciniiなどに公開されているわけがないので、折角苦労して書くのに、もっとインパクトがあればと思いながら、いろいろな先生と対話しながらどうすべきか考えました。 Elsevier 、 Springer 、 Wiley-Blackwell 、 Taylor & Francis 、 SAGE や Emerald などが学術系ジャーナルがありますが、これらと国際会議をくっつけて考える必要があります。これから先、論文として投稿をこれから考えています。ちょうど論文を書きながら調べてわかったことをここに記します。 Elsevierを例にとれば、この会社は ScienceDirect というインターネットでサイトを持っています。ここにはElsevierが発行している様々なジャンルのジャーナルを見ることができます。ただし、一般的には有料になります。1部20ドルか30ドルとかなりの高額になります。ただし、大学などの機関が会員になっている場合はPDFファイルで経費も書けずダウンロードが可能になります。 この出版社と紐づいた形で様々な国際会議が開催されます。国際会議には基本的には要旨もしくはアウトラインを提出、審査して認められばフルペーパー(論文)を書き、それを提出することになります。例えば ICCER2019 という国際会議ではポルトガルで今年7月22日から25日まで開催されましたが、要旨を5ヶ月前に提出し、フルペーパーを3ヶ月前に提出するようになっています。これらの会議で発表したフルペーパーは、ElsevierはProcediaという名前のつくジャーナルに掲載されます。ICCER2019の場合は Energy Procedia というジャーナルに掲載されます。会議で書いたフルペーパーをProceedingsとか言いますが、これを論文とみなすこともできるようですし、みなすことができないようでもありケースバイケースという印象です。目指すなら、Elsevierでということになるのではないかと思います。 私が4月にマレーシアで発表した のは Inderscience というスイスの出

レゴを使った授業に関する考察

Image
レゴを使ってプロジェクトマネジメントの授業を何度かやっていますが、今回データを取ったこともあり、少しいつもより時間をかけて考えたので振り返りします。研究メモとは言えないけれど、これからもっと深掘りしたいことについて、今回少し頭の整理します。。 授業では2つのアプローチでレゴを使って制作してもらいました。1番目の方法は、最初から役割決め、目標を考えた後、計画を作って実際に制作してもらう方法です。2番目の方法は、目的を明確にせず、計画も作成しない方法で作成してもらう方法です。これはインプロ(即興劇)を見て、それをレゴブロックに応用しました。 レゴブロックの良さは、専門的な知識が必要ない。自由度が低いものから高いものまで制作できる。授業の1コマの中でも十分にできることかなと思っています。 2つの方法でレゴを使って作品を制作してもらい、そのあとにどちらがやり易かったのか、面白かったのか聞くと7〜8割方は最初の方がやり易いとか良かったと回答していました。少数ながら、後者の方が良かったと回答しています。 計画を作らないと気持ちが悪いというコメントがある一方で、計画しない方が何ができるかわからないけれどおもしろさがあるとコメントした学生がいました。その学生は品質面にもコメントしていて、よく考察していると感心しました。つまり、品質面では計画をしている方が目的などを明確にせず、計画を作らず制作するよりも品質は低い。確かに、即興劇と台本がある演劇の品質を考えると一般的にはそうかもしれません。                履修生から提供してもらった後者で作った作品 即興でレゴ制作をする時に、学生を観察している次の4点に気づきました (1)計画がなくても何らかのものを作ることは可能である。 (2)ある程度のものができれば、目指すものがだいたい同じようなものになることがある。(いつもそうなるとは限らない) (3)作品を言語情報にした変換する時にこじつけにしろ 、 何らかの形で表すことができる。 (4)ただし、個人によってその情報は大きく異なる。 高尾ら ( 2012 ) 1) 、 新山ら( 2014 ) 2) など多くの事例や先行研究があります。コミュニケーションの面白さや重要性などインプロを実践することで認識され

クリッカーの使用

Image
被服管理学という授業を担当していますが、昨年から授業の進め方を大幅に変更しました。現在はこちらが話す時間は60~70分程度として、残りの時間を問題を出題し、学生解かしています。問いかけは例えば浴比や潜在濃度を変えると洗浄効率はどのようになるのか?です。そこに今年はクリッカー機能をつかいながら授業を進めています。昨年は少しだけでしたが、今年は大幅にクリッカーの使用する時間を増やしました。  クリッカーの機能として先行研究や活用事例として数多く報告されているが、 鈴木先生ら (2008) (1) や 田島先生 (2015) (2 ) など示しているように①「学生のバックグランド把握」②「学生に最適な授業ペースの把握」③「予習や宿題のチェック」④「理解度の自己把握」が挙げられる。今回授業の1回目で学生のバックグランド(例えば理系か文系なのか、化学が得意なのか等)などを聞き、①の学生のバックグランドの把握を行った。学生は高校時代は文系だった学生が多い印象があり、自然科学系の科目はあまり得意でないという意識が強いと感じていたためである。  その結果、70%の回答者が文系と回答した。(図1参照)また、化学はあまり得意でない、全く得意でないと回答した回答者が70%を超えていた。10週目に授業外学習時間に聞いたところ、約60%の回答者が少し勉強していることがわかり、ほとんど勉強していない学生もかなりの数に上ることが分かった。次に講義内容について理解できているのか質問したところ、約24%の回答者があまり理解できていないと回答している。                  図1 学習者の背景  これを詳しく見ていくと学習内容を理解していると回答している学生は、教室外で一定の時間勉強をしていると回答した学生が大半を占めている。教室外での学習の重要性がうかがい知ることができる。授業外での予習や復習などの学習時間に着目した研究 ( 3) では、授業外に勉強している学生の方が深い学びが実践できるという報告がある。ここから私の授業を受けている学生について言えば、文系学生が自然科学系科目を学習する際には授業外時間の学習すなわち予習や復習あるいは宿題などの時間が重要になると考えられる。  これをベースに発展させるアイデアも少し浮かんできました。時間との兼ね合いですが、ペーパーに