福島第一原子発電所の見学会に参加しました。

先日、福島第一原子力発電所(1F)を見学しました。今回はエネルギー学会のエネルギー学部会の見学会が主催してくださり、初めて福島に行きました。



いわき駅からバスで富岡町にある廃炉資料館に向かいました。資料館は、もともとは福島第二原子力発電所のPR館としてあった施設の内部の展示を改装し、事故の記憶と教訓を残さないようにと事故当時から現在の廃炉に向けた取り組みなどが展示されています。



2011311日当時の自分を振り返ると、JICAプロジェクトの業務調整として、インドネシアのBAKORKAMLA(海上保安調整組織)に派遣されていました。ちょうど金曜日で、ジャカルタの勤務先の食堂で津波の様子などをテレビで見ていました。それから数日後に発電所建屋が水素爆発した映像はたしかBBCで見たと記憶しています。その後、5月末に3年間の任期を終え、帰国しました。ずっと関西ということもあり、東北の知り合いもあまりいないこともあり、福島がどうなっているのかは、ただテレビを通して知る程度でした。

当日は最初に、資料館で当時の映像などをみて、そのあと、説明を受けました。説明の後、現地にバスで向かいました。資料館から10キロほど行くと帰還困難区域に入っていきます。国道沿いは、ゲームセンターやレストランなど立ち並び、所々に住宅がありました。道路の数カ所には線量表示計があります。国道から第一原子力発電所へ続く道路に入っていきます。道路から見える風景は、かつては水田だったところが、今は低木の木が生えて、そこが水田だったことがわからないくらいになっていました。

発電所の施設に到着すると、線量計を持って、バスの中から1号機から4号機までの様子、汚染水をフィルターを使って処理する装置、地下水の遮水壁などを説明を受けながら見学しました。原子力発電所が地震などが起こると「止める」「冷やす」「閉じ込める」の3つのことを行うことで安全性が確保できることを説明を受けました。

1Fは止めることには成功したものの、冷やすことができなかった。原因は「冷やす」ための電力供給を受ける交流電源が損失、想定外の津波による非常用電源の損失とは聞きました。でも直流の非常用電源も実は水冷式、空冷式の複数あったりとか、一部は電源が残ったけど、電源盤が津波で被水して使えなくなったことは初めて知りました。非常用電源はリスク低減する観点からも複数持つなどそれなりに対策は取っていたような印象を受けました。しかし、想定以上のことが起こってしまい、対応することができず、メルトダウンや水素爆発に至ってしまい。周辺住民の避難と避難区域の拡大となったのかなと思います。原発の場合は想定する範囲が際限なく広がっていくのではないかとは感じました。電力関係の論文(英文)を読んでいると広島に落とされた原爆の160倍とか書かれていたりします。

Fも津波がきて、失われた非常用電源もありましたが、なんとか「冷やす」ことができ、冷温停止して「閉じ込める」ことができました。「冷やす」電力の供給を受ける交流電源に使う送電線が1回線無事だったことが大きかったです。2Fへの津波の襲来の度合いは海底の地形とも関連することを聞きました。

確率論的リスク評価法(PRA)に基づきリスク分析やリスク評価していたものの、外部事象が算定が難しいということが「原発は安全たった一人の福島事故報告書」に書かれていました。

私たちが通った帰還困難地区にある主人のいない家をバスの中から見ましたが、自分がもしここに住んでいたら、どんなに辛いか想像できません。放射線が臭いもないし、目に見えないことです。それでも家に帰りたいと思うはずです。帰還率も2号機のある富岡町、楢葉町のうち、1号機に近い富岡町は帰還率は低く、楢葉町でようやく50%だそうです。1号機のある大熊町は帰還困難区域も多いので、さらに大変だと思います。

私自身は周辺の復興状況とかにも興味あったのですが、地元からの雇用も多いことを聞きました。地元には高齢の方のお宅での除草作業や地元の祭りや小学校の運動会のお手伝いなど地元とのつながりを大切にして、地道な活動をやられていると聞きました。



電気というのはあって当たり前のような財ですが、電気がないと私たちの生活はすごく困ります。電気を安定的に供給する系統運用を考えれば、ベース電源として原発が使えない中、石炭火力を選択せざるを得ない反面、温室効果ガス(GHG)の排出量が大きい石炭火力を使うべきかといえば世界の潮流とは逆行していく感はあります。太陽光などの再生可能エネルギーは変動幅が大きいので季節や地域によっては出力制御になります。蓄電池は単価が高い問題もあり、原発、石炭、再エネのあり方というのは難しい問題だと改めて思いました。

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