クリッカーの使用

被服管理学という授業を担当していますが、昨年から授業の進め方を大幅に変更しました。現在はこちらが話す時間は60~70分程度として、残りの時間を問題を出題し、学生解かしています。問いかけは例えば浴比や潜在濃度を変えると洗浄効率はどのようになるのか?です。そこに今年はクリッカー機能をつかいながら授業を進めています。昨年は少しだけでしたが、今年は大幅にクリッカーの使用する時間を増やしました。
 クリッカーの機能として先行研究や活用事例として数多く報告されているが、鈴木先生ら(2008)(1)田島先生(2015)(2)など示しているように①「学生のバックグランド把握」②「学生に最適な授業ペースの把握」③「予習や宿題のチェック」④「理解度の自己把握」が挙げられる。今回授業の1回目で学生のバックグランド(例えば理系か文系なのか、化学が得意なのか等)などを聞き、①の学生のバックグランドの把握を行った。学生は高校時代は文系だった学生が多い印象があり、自然科学系の科目はあまり得意でないという意識が強いと感じていたためである。
 その結果、70%の回答者が文系と回答した。(図1参照)また、化学はあまり得意でない、全く得意でないと回答した回答者が70%を超えていた。10週目に授業外学習時間に聞いたところ、約60%の回答者が少し勉強していることがわかり、ほとんど勉強していない学生もかなりの数に上ることが分かった。次に講義内容について理解できているのか質問したところ、約24%の回答者があまり理解できていないと回答している。



                 図1 学習者の背景

 これを詳しく見ていくと学習内容を理解していると回答している学生は、教室外で一定の時間勉強をしていると回答した学生が大半を占めている。教室外での学習の重要性がうかがい知ることができる。授業外での予習や復習などの学習時間に着目した研究(3)では、授業外に勉強している学生の方が深い学びが実践できるという報告がある。ここから私の授業を受けている学生について言えば、文系学生が自然科学系科目を学習する際には授業外時間の学習すなわち予習や復習あるいは宿題などの時間が重要になると考えられる。

 これをベースに発展させるアイデアも少し浮かんできました。時間との兼ね合いですが、ペーパーにしていきたいとは思います。また、これは絶対にしないといけないことは授業設計する際に活用していければと思います。後期の座学では実践したいとも思います。

参考文献
(1)田島貴裕. (2015). クラウド型クリッカーの活用事例とその運用課題. コンピュータ & エデュケーション, 38, 62-67.
(2)鈴木久男, 武貞正樹, 引原俊哉, 山田邦雅, 細川敏幸, & 小野寺彰. (2008). 授業応答システム “クリッカー” による能動的学習授業: 北大物理教育での 1 年間の実践報告. 高等教育ジャーナル: 高等教育と生涯学習= Journal of Higher Education and Lifelong Learning, 16, 1-17.
(3)蒋妍, & 溝上慎一. (2014). 学生の学習アプローチに影響を及ぼすピア・インストラクション: 学生の授業外学習時間に着目して. 日本教育工学会論文誌, 38(2), 91-100.


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