レゴを使った授業に関する考察

レゴを使ってプロジェクトマネジメントの授業を何度かやっていますが、今回データを取ったこともあり、少しいつもより時間をかけて考えたので振り返りします。研究メモとは言えないけれど、これからもっと深掘りしたいことについて、今回少し頭の整理します。。

授業では2つのアプローチでレゴを使って制作してもらいました。1番目の方法は、最初から役割決め、目標を考えた後、計画を作って実際に制作してもらう方法です。2番目の方法は、目的を明確にせず、計画も作成しない方法で作成してもらう方法です。これはインプロ(即興劇)を見て、それをレゴブロックに応用しました。

レゴブロックの良さは、専門的な知識が必要ない。自由度が低いものから高いものまで制作できる。授業の1コマの中でも十分にできることかなと思っています。

2つの方法でレゴを使って作品を制作してもらい、そのあとにどちらがやり易かったのか、面白かったのか聞くと7〜8割方は最初の方がやり易いとか良かったと回答していました。少数ながら、後者の方が良かったと回答しています。

計画を作らないと気持ちが悪いというコメントがある一方で、計画しない方が何ができるかわからないけれどおもしろさがあるとコメントした学生がいました。その学生は品質面にもコメントしていて、よく考察していると感心しました。つまり、品質面では計画をしている方が目的などを明確にせず、計画を作らず制作するよりも品質は低い。確かに、即興劇と台本がある演劇の品質を考えると一般的にはそうかもしれません。


               履修生から提供してもらった後者で作った作品

即興でレゴ制作をする時に、学生を観察している次の4点に気づきました
(1)計画がなくても何らかのものを作ることは可能である。
(2)ある程度のものができれば、目指すものがだいたい同じようなものになることがある。(いつもそうなるとは限らない)
(3)作品を言語情報にした変換する時にこじつけにしろ何らかの形で表すことができる。
(4)ただし、個人によってその情報は大きく異なる。

高尾ら20121)新山ら(20142)など多くの事例や先行研究があります。コミュニケーションの面白さや重要性などインプロを実践することで認識されます2)。コミュニケーションを円滑に取るためには非言語領域の観察力を高める必要があり、今回の授業では発声しないで制作したためより、観察力を高める必要があると推測されます。

思い考えたこととして、誰もが行うプロジェクトでは、確かにプロジェクトマネジメントの手法を使うことで効果的かつ効率的な実施が可能になる反面、計画面では詳細なものよりも、大雑把ものをベースにプロジェクトを実施する方が居心地が良いと思う人たちが少数ながら一定数いるではないかと考えました。もしそのような人たちがプロジェクトメンバーだったら、モチベーションを高めるためにはどうすれば良いのか?果たしてPMBOKのようなプロジェクトマネジメントの手法がプロジェクトを遂行する上で有効なのか、考えています。

少し分野は違うけれど、一人一人の認知特性に違いがあり、学習スタイルなどにも関係してくるのではないかとの関連性から説明できるのかなと考えていたりしました。そのようなことを考えていると本田真美著『医師がつくった「頭のよさ」テスト』3)という本が何故か頭の中で思い浮かびました。話が脱線しましたが、レゴを使ってきて、感じたこと考えたことが少し整理ができました。

参考文献
1)高尾隆, & 中原淳. (2012).インプロする組織予定調和を超え日常をゆさぶる.
2)新山順子, & 西山修. (2014). 保育者養成における即興表現の授業実践と学びの特性保育学研究52(2), 255-267.

3)本田真美. (2012). 医師のつくった 「頭のよさ」 テスト 光文社新書.

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